2016年に読んだ本の一部
確か年明けに書いたと思われる下書きが出土したので投稿してみます。一年分まとめて書くのは無理ですね…。
会社で「論理的な文章とは」というような話をしていて、若者に一冊読むならこれかなと思い、再読した。よく外銀・コンサル出身の人が言う「ファクトベース」は実証的な学問のやり方がベースになっているので、ファクトベース思考を身に着けたいなら、実証的な学問のやり方を理解するのが正確な近道だと思っている。その作法を知るにはよいテキストだと思います。
ついでにこれも今再読している。『論文の教室』と被る部分があって、そちらは作法がメイン(作法も重要です!)、こちらは主張の仕方がメイン。クリティカル・シンキングの本として、哲学の入門書として、とても良い本です。久々に読んで、自分の思考法のベースは哲学なんだなあと再認識した。もう卒業して10年経ってるんだけどな。実証的な主張がしにくい価値に関する主張の説得力をどうやって増すか、あたりで、哲学が「役に立つ」のを見て取れるはず。
名作に潜む数学的な美しさを説明する本。美が何で構成されているかを知ると、理解の解像度も上がります。
久々にRDBを使うので読んだ。有名な本なのであまり解説はいらないと思うけど、同じ轍を踏まぬよう読んでおく価値がある本でした。
久々にRDBを使うので読んだ。発行されたSQLの裏側で何が起こっているか、なんとなくでも理解しておくと思わぬところで役に立つ。たしか役に立った瞬間があったんだけど忘れてしまった…。あまり楽しくない読書になるかなと思ったけど、RDBMSの仕組みを理解するのは知的刺激があった。よい一冊でした。
めちゃくちゃ面白かった。地方銀行とは何か、いま進んでいる金融庁の金融改革とは何か、それで地方銀行はどうなるのか、が、金融改革をやってる人たちの群像劇で補強されつつ語られる。娯楽として読める本。Amazonのレビューも面白いので(読了後に)見てみてください。
とある勉強会で発表するために再読した。冷戦期を代表する大統領、リチャード・ニクソンが同時代の国家元首たちを語る。当然ながら国家元首の振る舞いはリーダーシップ論として有用。あと、僕らの世代が注目すべきは、イデオロギーで世界が2つに分かれて、お互いに大量の核弾道を積んだミサイルを向けあっていた時代、今は誰も上手くいくとは思っていなかった共産主義が一つの選択肢だった時代の空気。すこし追体験できる。本人が書いたのかはわからないけど、文章も読ませる。
今年ベスト。中国共産党の凄まじい権力闘争を忍耐、実務能力、知性、人間性で生き抜いた周恩来。彼がいなかったら中華人民共和国も毛沢東も文化大革命もここまでうまく(うまく…?)いかなかったはず。確実に自分にとって必要なパーツだった周恩来を毛沢東は死ぬまで警戒し続け、信じられないことまでして(詳しくは是非読んでみてください)失脚させようとするが、周恩来は粘り強く回避する。この本を読めば、辛いことがあっても周恩来だったらどうするかなと考えることができるようになる。我慢の一択なんだけど。
ソビエト連邦にはマルクス・レーニン主義という「正解」があった。正解がある社会は恐ろしい。権力闘争の結果、正解を正解たらしめていたロジックから個人に権威が移譲され、濫用される。『周恩来秘録』でも見てとれる現象だった。これは組織の失敗といえるのではないか。20世紀の大失敗組織のひとつ、旧日本軍については『失敗の本質』で教訓がまとめられてるけど、ソビエト共産党、中国共産党のそれは見当たらない。誰か書いてくれないかな。もう一つ、「不正解」とみなされた人間は排除される。『周恩来秘録』と違って、この本では排除というか虐殺にフォーカスがあたっている。イデオロギーが合わない人間がすべて殺される。そんなことあるのか?と思う人は是非読んでみてほしい。
フィリップ・グラスの自伝。自分の人生で音楽が趣味というレベル以上に重要で、ニューヨークが好きな人は絶対読んで欲しい。2016年もっとも感動した一冊だったような。
シェフの小説。不良。
CTOなので久々に読んだ。読む価値ある。「賢くて、物事を成し遂げる人を雇え」ってメッセージは普遍的。
プラグマティズムあまり詳しくないのとブランダムなど新しい(僕が哲学科を卒業したのは10年以上前なので結構取り残されている)哲学者の話も読めるということで読んだ。アメリカの哲学はどうしても論理実証主義から分析哲学って流れの説明が多くなっちゃうので、そこら辺の補強に便利だった。普通に読書としても面白い。
泣ける。統合失調症に関心がある人は是非。