『12大事件でよむ現代金融入門』 と『コンテナ物語 』を読んだ

出張中&帰りの飛行機で読んだので軽く感想文を。

倉都 康行『12大事件でよむ現代金融入門 』

1970年以降の国際金融システム史。12の事件が時系列に解説される。金融を中心とした国際経済のしくみがわかる。著者はその現場にいた人。それでか、平易な文体の中にも生々しさがある。この手の本でありがちな「新自由主義が悪い」って論調にではなく、あくまで中立的に書かれているように思える。きっと著者が現場で金融というシステミック・リスクと戦っていたからだと思う。そういう語り口もあってか、好きになれる本だった*1。歴史の本としても教科書としても読める。良書でした。ちょっと消化不良なので再読すると思う。

マルク レビンソン『コンテナ物語 』

箱に荷物を詰めて送るようにしたら物流コストがめっちゃ下がった。けど導入は組合が反対したり標準化でもめたりして大変だった。箱の発明もだけど、それをがんばって導入したマルコム・マクリーンは偉い!って本。色々な人が褒めているだけあって、ものすごい面白い。

この本は幾つかのトピックから読める。

一つめは「起業家としてのマルコム・マクリーン」。ちょっと儲かるとすぐ借金したり資金調達したりして新しいことをやる。お金の突っ込み方がダイナミックで面白い。こうやって会社運営ってするんだあ…という。

二つ目「実録・機械に仕事を奪われた」。かつて沖仲士が手動で船から荷物を下ろして仕分けしてトラックに詰めていた。この仕事はコンテナを導入するとかなり無くなってしまう。なので沖仲士の組合はめっちゃ反対する。けど時代の変化には勝てない。という話。

最後「コンテナリゼーションがいかにして海運を効率化したか」。要はバッチサイズを一定にして作業を標準化するとスループットが上がる、という。トヨタ生産方式を思い出した。20世紀後半の生産性改善の定石なんだろうか。ソフトウェア開発プロジェクトにも活かせそう。


あと、ブルックリンのレコード屋で買ったこれが最高だった。ニューヨークのラテン・ソウル。ほんと良い。

Joe Bataan - I Wish You Love, Part 1 & 2 - YouTube

*1:その点、最近の水野和夫は辛い。『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』は名作だったと思うんだけど、それ以降はこの本でデータから導いた結論に本人が乗っ取られちゃってる感じ